ぶっちぎりインターネット

第8回『嗚呼!華の暴走族 編』




『横浜銀蝿のぶっちぎりインターネット』(DOS/V USER 12月号 原稿)


《タイトル》

嗚呼!華の暴走族 編

《本文》

いきなりで何なんだが、暴走族ってのは非常にウザい!
お前には言われたくはね〜ぞ!といわれそうだが、
人間なんてもんはそもそもみな、自分中心に地球がまわってる生き物。
自分のおならは芳しいが、他人のは非常に臭いのである。

以前はどうあれ、今では若者の手本となるような良識ある立派な大人となり、
健全で模範的な社会生活を律儀に営んでいる俺にとっては、
道路で遭遇した時のあのの騒々しさ、
ちんたらちんたらしてるあの走り方、そして生意気な態度、
迷惑千万、どこをどう考えてもあれはマジむかつく以外の何者でもない。

一体あいつら道路を誰のものだと思ってやがるんだ?
・・・もちろんのものだ。

そいえばちょっと前、交差点で信号無視の2ケツの暴走族はねちまった
言っとくけどわざとじゃないよ。これは完全に事故なの事故。
俺は普通に走ってて青信号なんで直進。したら交差点で出会い頭に暴走族に遭遇。
横からちんたら来た単車にノンブレーキでそのままモロにドッカ〜ン。
無免の中坊。もちろん盗難車。
幸い大した怪我じゃなかったみたいなんでお互いラッキーだったんだけど、
おいおいおい!どうせならもうちっと上手な信号無視してくんねーかなぁ。
カッコつけて信号無視で突っ込んで、そのままボンッとかはねられちゃったりしたら、
こりゃもろマンガでしょう?
これじゃまさに飛んで火に入る夏の虫・・・もー悪すぎ。
もっとスマートに集団暴走行為してくんねーかなぁ。

・・・と、かつての自分を棚に上げまくっている相変わらずの俺なんであるが、
本当は今でもやっぱ暴走族の味方なのだ。

どういう事かっていうと・・・

俺達の時代は、といえば暴走族しかなかったけれども、
今はやんちゃな車いじりにもたくさんの流派がある。
どんな世界でもそうなんだろうけど、
やっぱさすがもうすぐ21世紀。
走り屋とか車いじりの世界にもハイテク化
細分化・専門化が進んでるわけだ。

公道派をちょっと考えただけでも、
ばっか走ってる下りコーナー大好きアウトドア派のみなさん。
首都高一晩中グルグルグルグルしてる、
まるで道路公団の高速パトロールみたいなシティ派の諸君。
とにもかくにもストレート最高速、とってもわかりやすい猪突猛進湾岸MAX派
やっぱゼロ加速が命の非常にせっかちなゼロヨン君達
埠頭で何度も何度も飽きずにドリフトターン
平地でタイヤをまるで消しゴムのように消費してる曲がり角の狼達。
おしゃれにバンやセダンをドレスアップ、ひたすらVIPなリフォーム推進派
ウーハーぶひぶひのサウンド派、大黒PAの放送委員withパラパラ隊
・・・とまあいるわいるわ、それぞれの分野に専分化した流派が盛り沢山。

現在ではそれぞれの流派が、
それぞれ仕様にマシンをハイテク特化チューンして、
どれもこれももう、かーなりマニアックにそして本格的に極めているわけだ。

スピードや走りを極めたり、
ゴージャスな雰囲気やサウンドを極めたり、
それぞれの流派が、今やかなりハイレベルに達しているんで、
それはそれで趣味としては見事なものである。
もちろん金もかかるだろう。
なんてったってそれぞれ最先端のハイテクチューンなのだ。

しかし俺的に言わしてもらっちゃうと、
そういう極め方って全然可愛くなくない?
妙に大人びたセンスっていうか、現代風っていうか、
な〜んかそういうのオシャレすぎくない?
やんちゃっていうよりか、マニア入ってるカンジ。
そもそも趣味なんてもんは、大人になってから持てばいいのだ。

と〜ころがどっこい!昔から全然相変わらずなのが、我らが暴走族である。
昔から進歩がないっていうか、工夫を知らないっていうか、
何も考えてないっていうか、今だにま〜るでローテクなのだ。

直管の竹槍マフラー
ただただひたすら低いだけのサスなしシャコタン
空力最悪の、でかくて重い出っ歯キリンカウル
まさに早く走る為にはまるで意味のない、いやいやかえって遅くなってるいじり方。
ドレスアップどころか、逆にドレスダウンを良しと解釈するその美的センス。
暴走族の場合、チューンナップとは呼べません。改造です、か・い.ぞ.う。

族車って、なんか小さな不器用な子供がでたらめに作った
出来損ないのプラモデルみたくない?
本来ならば世界をリードする我日本の最先端技術の結晶だったはずの自慢の愛車を
(まぁ場合によっちゃ盗難車だったりするんだけど・・・)、
わざわざ原型を見失うくらいにデタラメにしていく彼等。

マニアとして車や走りそのものを極めようなんて気は、はなから全然なし
車や単車はあくまでも小道具。特攻服鉄パイプと同じ。
ようはつっぱっていたい訳じゃん?

趣味とかマニアとかの世界じゃなくて、どちらかというと精神の世界。
時代にもモロに逆行してるし、
そもそも最初からかなりの勘違いだったりしてんだけど、
貫き通すにはやっぱそれなりに覚悟もいるし根性も必要なのだ。

今どき暴走族なんてやってれば、
ギャルにはモテねーわ、近所では白眼視だわ、
交機にボコボコにされりゃそりゃ痛いわ、他の族とだってイザコザするわ。
んでおまけに、交差点で俺にはねられるって事もある。だはは
暴走族も楽じゃないのだ。彼等だって大変なのだ。

ね?バカでしょう?無邪気でしょう?可愛いでしょう?最高でしょう?

っていう事で、
今では若者の手本となるような良識ある立派な大人となり、
健全で模範的な社会生活を律儀に営んでいる俺ではあるが、
やっぱどうしても、どちらかというとそんな暴走族を可愛く思ってしまうのである。

でも最近のガキドモってのは、昔とちっと違ってきてるとも思うんよ。
やんちゃって範疇をはみ出しちゃってる事件とかも多いじゃん?この頃。

悪さするにしても、プロじゃないんだから
そのあたりの塩加減ってとっても大事だよ。
取り返しのつかない事件や、後戻りの出来ない世界に踏み込んでしまったら、
もうそれは若気の至りじゃすまないもの。

どんなにやんちゃな時期を過ごしたって、いずれみんな大人になる。
大人になって過去を振り返った時、
やっぱ良い意味で、懐かしくて暖かくて胸がキュンとして、
んで仲間のみんなと一緒に笑えるエピソードで、
一番熱い時代を彩ってほしいななんて俺、マジに思ってます。

な〜んて事を書いてる俺ってば、やっぱとっても大人なんですね。ははは

まぁとにかく、
やんちゃするのも、どこどう走るのもいいけど、
俺の通り道だけには現れないでいてほしいと切に願う今日この頃である。

-了-


《今月のお薦めサイト》

五番街倶楽部

さてさて、今回のテーマ・・・『暴走族』関係のサイト。
族の歴史やら主だったチームの紹介、ステッカーのコレクション等、
“暴走族ミュージアム”と言ってもいいくらいの貴重なサイトです。








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