01)プロローグ
時は西暦2040年。
日本は高齢化社会が進み、
実に5人に2人が高齢者という、
まさに超高齢国家と化していた。
20世紀後半から懸念されていた核家族化・少子化はますます加速度を増し、
一人暮らしの高齢者の人口比率が爆発的に増加、
2020年代に入ると、それに伴うトラブルが社会問題としてクローズアップされ、
国は高齢者問題の早期解決を余儀なくされていた。
そして2035年。
ついに義務教育ならぬ、義務養護法案が成立し、
65歳以上の老人は養老院への入園を強制的に義務付けられた。
少子化が進み義務教育期間の児童が激減している中、
全国の公立小学校・中学校は、
そのほとんどがリニューアルされ、
地域の老人の為の公立養老院となっていった。
その義務養護法案で一時解決に向かった高齢者問題ではあったが、
しかしその制度は、また新たなる社会問題の引き金にもなった。
かつての公立中学がそうであったように、
“老ちこぼれ”と呼ばれる一部の不良老年達による院内暴力。
養老院同士の抗争。不法改造車椅子による集団暴走行為。
援助交再と呼ばれる女子老院生による売春等、
児童の教育問題と並んで、今や老人の老育問題が大きな社会問題となっていた。
横浜市立富岡長寿園。
この物語は、
地元では“とみちょ〜”と呼ばれている
そんな時代のこの養老院から始まる・・・
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