06)オリエンテーション


ここで諸君に、横浜市立富岡長寿園の生活を大雑把に紹介しておこう。

まず、学年構成。
入園年度と年齢順に“○年生”という呼び方もあるにはあるが、
それではあまりにも学年が増えすぎてしまうため、
約300名の生徒を、学年別の他に大きく3つに区分している。

拓治郎のように今年65歳を迎え新しく入園した1年生から、
今年74歳の9年生までを“年少さん”。
10年生(75歳)から24年生(89歳)までを“年中さん”。
そして、25年生(90歳)以上を“年長さん”と呼ぶ。

そして、その各グループは30人程の組に分けられる。
年少さんは、“幸福組”“希望組”“喜び組”“新鮮組”。
年中さんは、“大空組”“若草組”“青春組”。
年長さんは、“白組”“紅組”。
以上9クラスの他に、
介護の必要な生徒及び寝たきりの生徒のための“涅槃(ねはん)組”がある。

涅槃(ねはん)組以外の各クラスには、担任、副担任。それに看護担任の三人の先生がつく。
クラス担任以外の職員は、専門教科の教官が数人。
医務室の先生。涅槃(ねはん)組担当の医師及び看護・介護スタッフ達。
給食室のおばちゃん達。用務員のおじさん。そして教頭先生と園長だ。

最近は高齢者といえども、
ちょっと頑固で偏屈だったり、耳が遠かったり、物忘れが激しかったり、
人によっては(特に“年中さん”以上は)、多少ボケ入ってるということをのぞけば、
身体的には元気で何も問題ない生徒も多いので、
かつての養護施設という感覚よりは、老後学校的な意味あいも大きい。

なので学校と同様に、1学期、夏期休暇、2学期、冬期休暇、3学期、春期休暇
という年間スケジュールに沿って行事が行われる。
毎週土日は授業がなく、その時間は地域への奉仕活動となるが、 基本的には、土日も平日と同じタイムスケジュールである。
夏期・冬期・春期の休暇は一週間。その間は授業はお休みだ。
健康で生活態度に問題のない生徒は、園長に帰宅許可を申請し許可がおりれば、
夏休み、冬休み、春休みの期間は帰宅も許される。

春には遠足、夏には盆踊り大会、そして林間学校。
秋には運動会、修老旅行。年末のクリスマス会。
そして新年には歌会始、餅つき大会と、
入園式と卒園式がないことをのぞけば、ほとんど全寮制の学校生活のようだ。

学園生活の一日は、
7:00に朝食。起床時間は特に規則にはない。
というのも、長寿園の朝は早い。みなおそろしく早起きなのだ。
その後、9:00から午前中いっぱい授業及び地域への奉仕活動がある。
12:00に昼食。その後15:00まで昼寝。
15:00から課外活動。外出者の門限は17:00。
18:00に夕食。その後は自由時間。
そして21:30に就寝消灯となる。

授業は、“若者文化”“老後の心得”“保健体育”“技術家庭”
“音楽”“美術”そして土日の“地域奉仕”の7教科を中心にカリキュラムが組まれ、
実技では“太極拳”が必須の科目となっている。

課外活動も、たくさんの運動部と文化部があり、それぞれが活発な活動を行っている。
特にゲートボール部は、全国大会3連覇を成し遂げ、今や負け知らずの大活躍。
男女共学なので、男女比は4:6で女生徒が若干多く、
試合ともなれば、名物のチアリーダー部を中心に、スタンドは華やかな大応援団となる。

園訓は“明老活発”

これが、横浜市立富岡長寿園のパンフレットを見て書いた学園生活のアウトラインだ。




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