09)小テスト(その2)


「え〜。それではみなさん。今、スライドで御覧になったようにですね、今度は各自実際にやってごらんなさい。
あ 器も中身も熱いですからね〜、火傷しないように充分に気をつけてくださいね。それではど〜ぞ!」

一同「は〜い」

ずずっ! ずずずずっ! ずずずずずぅ〜〜〜!

「そうですそうです。その要領です。みなさんだんだんお上手になってきましたね〜。
さあ、もう一度、先生の後に続いてやってみてごらんなさい・・・ずずずずず〜〜〜っ!」

一同「は〜〜〜い」

ずずずずっ!ずずず!ずずずずぅ〜〜〜〜!


「おいおいタケオ。俺らこんなことやらされてっけどよお・・・いったいこれって何の役にたつんだ?ずずずずっ」
「ん〜〜〜〜。俺もよく意味わかんねえんだけどさあ。でも、なんか美味くねえか?これ。ずずずずぅ〜っ」
「おお。悪かぁねえよな。ずずずずぅ〜」
「タケオタケオ、ほれ・・・後ろのあいつ見てみろよ。ずずずず」
「ん?・・・おお。さまになってるなぁ。まさに飲み込みがはええなぁあいつ。ずずずずず」

「宮川さん!安藤さん!授業中の私語、よそ見はやめなさい!」

ぎくっ!
「げ・・・おこらいちまっただよ。ずずずっ」
「おめ〜が話かけっからだろが・・・馬鹿。ずずずずず〜。あ〜うめっ」


今、年少さんの教室では、老後の心得・・・『正しいコブ茶のすすり方』の授業の真っ最中である。

「はい。みなさん良くできました。わかりましたね〜?両手でしっかりと茶碗を持つこと。
茶碗を動かすのではなく、顔を茶碗へ近づけること。そして口のすぼめ方、猫背の具合がマナーのポイントで〜す。
あ それとみなさん。ひとすすりした後は、さりげなく『・・・はぁ』と、美味しさをため息で表現して下さいね〜。入れてくれた方へのエチケットですからね〜。
はい、先生に続いてぇ〜・・・ずずずずずぅぅぅ〜〜〜っ・・・・はぁ」

一同「は〜い」

ずずずずずぅぅぅぅ〜〜っ・・・・はぁ

「今日のこれは来週の小テストに出ますからね〜。一人前の老人として恥ずかしくないように各自復習しておいて下さいね。」

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン・・・コ〜ンキ〜ンカ〜ンコ〜〜〜〜〜〜ン。
ここで終業の鐘が鳴った。

「はい。今日の授業はここまで!・・・・・・・ん?日直さ〜ん?」

「ずずずず・・・ん?・・あ・・は・はい!・・・起立!・・・礼!・・・着席!・・・・はぁ」




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